■第14号 西洋医学と東洋医学、代替医学 (2005年06月06日) これまでは、医師が患者の治療方針を決めていました。しかし、最近は、患者側が、どのような治療を選ぶのかを選択できるようになってきました。とは言っても、医療に関する情報を持っていなければ、選択することは出来ません。私どもの役割の一つは、選択肢を提供する、ということにあると考えております。今回は、代替医療などについての安保教授の考え方等についてです。それでは、本論に入っていきましょう。
西洋医学は、薬の切れ味がよく、服用すれば素早く鋭い効きめを発する一方で、強い副作用も引き起こします。そのために、つらい目にあっている患者さんが、副作用がないか、あっても非常に少ない医療を求めて、代替医学や補完医学を選択しているようで、このことが、医療現場の医師たちの間に、現代医学以外の方向から医療をとらえなおす試みを広げているようです。
代替医学、補完医学には、漢方、鍼灸、アロマテラピー、ホメオパシーなどがあるのですが、いずれも、ゆっくりと免疫を高めたり、循環を良くしたり、排泄を良くしたりというように、生体反応を刺激して治療するものです。そして、これは、人が、病気やケガから快復していくときの治癒のあり方に通じているのです。
西洋医学は、感染症の克服などに大きな役割を果たしてきましたが、その一方で、病気をあまりにも分析的にとらえる方向に進みすぎたために、体全体の健康をとらえられなくなってしまいました。病巣そのものを退治できたとしても、病人本人が非常につらい状態で日々を過ごさなければならないとすれば、それが本当に良い医療と言えるのかという、疑問が残ります。
代替医療が、生体反応を利用して治療するものであるため、西洋医学で疲労困憊した状態でたどり着いたのでは、なかなか治癒に向かわないのです。急性の疾患は西洋医学で素早く対処するとしても、慢性的で、長時間を要する病状の場合は、より早い段階で、代替医療を試すことが望まれます。
安保教授が見たところ、代替医療は、ガン、膠原病、アレルギーなどの、西洋医学の治療を長く続けることで破綻をきたす病気に効果を上げていることが多いのです。これらは、どれも慢性化した病気であり、自律神経、免疫系、循環系、消化器系などの生体全体のバランスが破綻しているためであり、だからこそ、バランスを整える働きを、全身で考える代替医療が効果をもたらすのです。
代替医学には、全体像をつかんで病気と対応するという、東洋的な思考法があると考えられます。しかし、分析的な研究は進まなかったため、東洋医学や伝統医学だけでは、生体の化学的・生理学的な究明はできなかったと考えられます。ですから、これからは、西洋医学と東洋医学、代替医学が対立するのではなく、双方の長所を生かしながら、健康に貢献していくが望まれます。
今回のまとめは、【西洋医学と東洋医学、代替医学をうまく組み合わせて、健康に貢献していく道を探っていくことが望ましい】ということになるでしょうか。次回は、いよいよ、『免疫革命』の最終回になります。では次号まで、楽しくお過ごしください。(^‐^) |