人間の性格は、生まれながらに持っている先天的な基本気質と、生活環境や職業など社会的なものによって形成された後天的な形成気質があります。私たちは、自分の性格を変えることはできない、と思っていますが、この場合の性格は、基本気質的なもので、多くの心理学者も、これを変えることは困難であると言っています。
しかし、後天的に形成された性格は、変えることは可能であるといわれています。この場合に、変えることができるのは、行動形成と言うほうがより適切で、もっと直接的に言えば、行動や習慣と言い換えるとよりわかりやすいかも知れません。 そして、この文字を書くという行為から生まれる筆跡を分析することによって、その人の“考え癖”、“行動癖”という行動習慣といわれるような性格を分析することが可能なのです。
では、どうして筆跡から性格がわかるのでしょうか。 第一に、私たちが文字を書く時は、書道などのように改まって書く場合は別として、どんな風に、どんな文字を書こうと意識して書いてはいないのです。だから、書くという行為は、話すことや歩くことと同じように、無意識に行われているのです。
第二に、文字を書く場合に、その文字間の間隔をどの程度開けて書くのか、というようなことも意識して書いてはいないのです。むしろ、「せっかち」だとか「のんびり」だとかいう性格が、無意識にその文字間の間隔を決めてしまっているのです。
第三には、常にその人らしく行動します。例えば、せっかちな人はせっかちに、のんびりしている人はのんびりと無意識に行動します。これと同じように、文字を書くときにも、角張った文字を書いたり、丸みのある文字を書いたりといった、癖が出ますが、これも無意識に行われていて、習慣化されていますので、その癖を直すことは容易にはできません。
そして、第四に、行動の傾向がわかると、そこからその人の性格を推測することができように、文字の癖や特徴すなわち筆跡から、行動の傾向を洞察することができるのです。
このように、心の状態や性格によって行動が影響を受けています。ですから、文字を書くという行動も、心の状態や性格の影響を受けることになります。
ところが、逆に行動によって心や性格(後天的)は影響を受けるのです。例えば、悲しいときに、無理に笑い元気に行動しているうちに、心が晴れてくるということがあります。ですから、強制的に行動を変える、特に今の場合は、強制的に文字を書くという行動を変えるのです。こうして書き癖すなわち筆跡を変えることによって、後天的な性格を変えることが出来るということになるのです。つまり、 筆跡診断により、性格の弱点を知り 意識的に文字を変えていくと考え方や行動が変わり 考え方や行動が変わると性格や人生が変わる のです。 |