■第6号 対処療法では慢性疾患は治らない (2005年04月11日) 今回は、対処療法では慢性疾患は治らない、というお話から始めましょう。 西洋医学では、麻酔薬の進歩によって、手術ができるようになり、医療が大きく前進しました。また、消毒ができるようになって、無菌操作が可能になり、感染症から逃れることができるようになり、さらに抗生物質の登場で、感染症から脱却する進歩も得られました。これらによって、西洋医学は事故による負傷などの急性の疾患に大きな役割を果たしました。(しかし、抗生物質の多用は、耐性菌を生み出し、細菌、ウイルスに対処する方法がなくなってきています。) 一方、膠原病、ガン、アレルギー疾患、その他潰瘍性大腸炎など組織障害を伴う疾患については、ことごとく医療が停滞するばかりか、慢性疾患の患者数は増加しており、現在の医療のめざす方向に疑問を投げかけざるを得ない、と安保教授は言われています。 安保教授によれば、病気の不快な症状は、治癒反応であり、だとするならば、ある程度までは、積極的に促進してあげる必要がある、ということが分かってきたのです。 ここ十数年における分析的な医学の進歩は、分子や遺伝子の問題の謎を解いてきました。しかし、そのことによって、根本的に病気が治るという進歩は、今のところもたらされていないのです。 このような反省から、統合医療、全人的医療(最近はホリスティック医療とも言われます)が必要である、と言われてきています。 統合医療にきちんと取り組むためには、例えば、自律神経系のシステム、白血球のシステム、代謝エネルギーのシステムなどの身体のしくみを理解することが重要であり、このことによって、病気のメカニズムがとらえられるのです。 代謝エネルギーのシステムは、エネルギーの消費・蓄積システムであり、身体の全ての活動がこのシステムとともにあることから、あらゆる疾患も必ず、このエネルギーシステムと関わっていると言えます。 また、自律神経のシステムもエネルギーのシステムと密接に関わっています。自律神経は、交感神経(身体が高ぶるように働く)と副交感神経(身体をリラックスさせるように働く)のバランスのもとに、身体のあらゆる臓器や器官の働きを自動的に調整しています。ですから、自律神経とかかわりのない病気はないのです。 そして、自律神経の支配を受ける白血球を見ることで、病気の起こるさまや治るさまが分かってくるといます。 例えば、強いストレスを受けたり、頑張りすぎると交感神経が興奮して、組織破壊の病気が起こりますし、のんびりリラックスし過ぎると副交感神経が過剰優位になって、アレルギー性の病気が起こります。 今年は、花粉症がひどいのですが、仕事をしたり、運動をしているときは、花粉症の症状はあまり出ないということに気づきませんか。これは、交感神経が活発に働いているからです。そして、運動、仕事の後、ちょっと一休み、というときに症状がでませんか。これは、副交感神経が優位だからなのですね。 このように、身体の中にある統合的なシステムに注目し、その乱れに対処していく治療こそが、適切な医療だと言えるのではないかと、考えておられるのです。 今回のまとめは、【身体というシステムを全体的にとらえ、その働きを統合的にとらえて、対処していく統合的医療が、真の治癒をもたらす】と言えそうです。次号はエネルギーのシステムから医療について考えてみましょう。次号まで、楽しくお過ごしください。(^‐^) |