■第9号 パーキンソン病 (2005年05月02日) 今回は、パーキンソン病の謎についてのお話しから入ります。 ところで、パーキンソン病をご存じでしょうか?ご存じでない方のために、簡単にその症状についてお話しします。
発病は40〜50歳頃で、手足や顔面の筋肉が突っ張り、強ばります。そして、手足のふるえが起こり(振戦)、動作が非常にのろくなります。顔は無表情で仮面のようになり、すり足の歩き方になりますが、なかなか歩き出せず、歩き始めると、止めようとしても止まりません。 振戦は、手指の親指と第二指及び他の指を少し曲げたまま、擦り合わせるように、リズミカルに動かします。ざっとした症状は以上のようです。
ある研究者たちが、パーキンソン病の患者さんの脳を調べたところ、黒質という部分の細胞がひどく損なわれており、この黒質がドーパミンの産生細胞だったことから、ドーパミンの前駆体補給で治ると考え、これがあっという間に広がったのです。しかも、このパーキンソン病の脳の研究者たちが、ノーベル賞をとったものですから、この説が権威を持つことになったのです。
ところが、このドーパミン前駆体は、交感神経の緊張を促す神経伝達物質の一つです。ですから、これを投与されると、身体はさらに硬くなって、どんどん動けなくなるのです。
安保教授は、近年、爆発的に増加しているパーキンソン病の患者さんたちの症状を調べているうちに、発病の背景に強いストレスがある、つまり、交感神経緊張状態があるのではないか、と考えるようになったのです。
パーキンソン病の患者さんは、たいてい不眠に苦しみ、頑固な便秘に悩んでいますが、これらは、明らかな交感神経緊張状態を示しています。 ですから、ドーパミン治療によって、身体中にさらなる緊張が起こり、実際には、話すことが出来なくなったり、歩行できなくなっています。 昔から、パーキンソン病の患者さんは、がんばりやさんが多いことが知られているそうです。がんばりやさんは、いつも歯を食いしばって、気を引き締めていますので、交感神経緊張状態におちいりやすい生き方になります。こういったことから、交感神経緊張状態と、それが原因で起こる、血行不良を改善することが、真の治療につながると考えておられます。
パーキンソン病にかかると、身体が不随意にぷるぷる震えます。これは、緊張した筋肉が、血流不足になっているのを改善するために、震えることによって血流を良くしようと働きであり、自分で作り出すマッサージ作用ではないか、ということです。
ですから、血行を増やす入浴や体操を積極的に行い、玄米食や、食物繊維の多い野菜やキノコを食べて、便秘にならないようにする方が、ドーパミン前駆体を服用するよりも効果があるのではないか、ということです。
今回のまとめは、【病気が起こるしくみを考えると、本当の治療法が見えてくる】のではないか、ということになるでしょうか。次号はいよいよ、序章の最終回になります。ゴールデンウイークのまっただ中、お読みいただいていない方もおられることでしょう。休み疲れがございませんように。次号まで、楽しくお過ごしください。(^‐^) |