■第6号 エンザイム (2006年04月24日)
本号は、いよいよ、新谷教授が重視される、エンザイム(酵素)のお話になります。
アンケート結果や様々な臨床データから、【エンザイム】に気づくことになります。エンザイムというのは、生物が生きるために行うありとあらゆる行為を可能にしている、細胞内で作られるタンパク質の触媒です。
エンザイムは、生命があるところ(動植物)には、必ず存在し、その量と活性度が健康状態に大きく影響します。人間では、五千種以上のエンザイムが働いていますが、体内で作られるものと食物として体外からとりいれるものがあり、体内で作られるエンザイムのうち約三千種が腸内細菌によって作り出されています。
そして、良い胃相・腸相の人たちは、エンザイムをたくさん含むフレッシュな食物を多く摂っていたのに反し、胃相・腸相の悪い人たちは、お酒、たばこの常用、大食、食品添加物を含む食事、ストレスの多い生活環境、医薬品の使用などといった、エンザイムを消耗する生活習慣でした。
アメリカの酵素研究の第一人者のエドワード・ハウエル博士は、生物がその一生の間に作れるエンザイムの総量は決まっており、これを潜在酵素と呼んでいますが、この潜在酵素を使い切ったときが、寿命の尽きるときだといいます。その真偽は、今後の研究成果によりますが、体内にあるエンザイムの量が、その生命体の“命運”を握っていることに間違いはないといいます。
そして、微生物がエンザイムを作りやすい環境を整えることはできても、エンザイムそのものを人工的に合成して作り出すことはできないため、“食”が重要になってくるのです。つまり、エンザイムを多く含む食物を摂取することが、腸内環境を整え、腸内細菌がエンザイムを作るのを助けます。
ところで、生命活動を行うために必要なエンザイムは五千種以上ありますが、1つのエンザイムは、たった1つの働きしかしないのです。しかも、ほとんどの食物の酵素は、そのままの形で吸収されるのではなく、消化の課程で分解され、ペプチドやアミノ酸として腸から吸収されます。
さて、ここからは新谷教授の仮説である、ミラクル・エンザイム(エンザイムの原型)についてのお話になります。
生命体の活動は、すべてエンザイムが関与しています。そして、もし、様々なエンザイムがすべて完成品として作られているとすると、どこか体の一部で大量のエンザイムが消費されると、体の恒常性を維持し、細胞の修理・修復や神経系、ホルモン系、免疫系を正常に保つためのエンザイムが不足することになります。でも、人間の体は、合理的にムダなくできているはずです。そこで、何千種ものエンザイムは、決まった数だけ作られるのではなく、原型となるエンザイムが先に作られ、それが必要に応じて作り替えられて、必要な場所で使われている、という仮説を考えられました。
ミラクル・エンザイムの存在を信じるもう一つの根拠は、アルコールなどの耐性ができることです。つまり、“お酒の弱い人”が訓練によって強くなっていくことから、必要に応じてエンザイムの量が変化すると考えられ、それが可能なのは、どのようなエンザイムにもなれる“ミラクル・エンザイム”が体内に用意されていると考えられることです。そう考えると、エンザイムを多く含む食物を摂ることで、体内に、ミラクル・エンザイムが蓄えられ、必要に応じて使われる仕組みが、人間の体に備わっているということになるのです。
では、次回まで、楽しくお過ごし下さい。(^-^)