■第1号 サイレント・ベイビーの概要 (2005年11月06日) サイレント・ベイビーって何かおわかりになるでしょうか。これは、1999年に徳間書店から出版された『サイレント・ベイビーからの警告』に書かれています。著者は、堀内勁という小児科のお医者さんです。サイレント・ベイビーとは、読んで字のごとし、〈物静かな赤ちゃん〉のことをいいます。詳しい内容をお知りになりたい方は、どうかこの本を買ってお読み下さい。
さて、子育ての専門家でもない私が、なぜこの本を取り上げようとしたのか、まず、その理由からお話ししましょう。 特にこの本が出版された前後の時期から現在まで、子どもによる殺傷事件が相次いで起こっています。これからの日本を背負って立つ子ども達に一体何が起こっているのでしょうか。何が子ども達をそのような行動に駆り立てているのでしょうか。その一つの答えを、この本に見出したと思ったからなのです。
子育ての真っ最中のお母さん方はもちろんのこと、子育ては終わったけれども、孫の世話をしなければならないお婆ちゃん、お爺ちゃん等々色々な方に考えていただけたらいいなと祈りつつ、何回かに分けて、この本の内容をお伝えしていきたいと思います。
それでは、サイレント・ベイビーの本題に入っていきましょう。 堀内先生いわく、1980年代ごろから〈物静かな赤ちゃん〉サイレント・ベイビーが増えているようです。 〈物静かな赤ちゃん〉を見て、おとなしくて、うらやましいとお考えの方は、考え直していただきたいですね。本来、赤ちゃんは、おなかが空けば、お乳が欲しいと泣き、見慣れない場所に行けばおびえて泣き、隣に赤ちゃんがいれば、手を伸ばしていたずらを仕掛け、あげくは喧嘩をする、というものではないでしょうか。
赤ちゃんが泣くというのは、まず、お母さんに近づきたいというメッセージを送っているのです。泣くという言葉によって、お母さんとのコミュニケーションを求めています。このコミュニケーションを通じて、自分以外の他者の存在を知り、他者とのかかわりあいを身につけていくのです。ですから、〈物静かな赤ちゃん〉は、人とのコミュニケーションが身につかないのです。《社会性》
次に、隣の赤ちゃんに手を伸ばしていたずらを仕掛けるということは、好奇心の現れを示しています。好奇心の始まりは、五感を使った感覚的で身体的なものなのです。床に落ちている埃を吹いてみたり、動いている虫をハイハイで追いかけ、つかまえて口に入れるなどしませんか。そして、お母さんを始め、まわりのおとながこの様な赤ちゃんの好奇心に反応することよって、好奇心が開発されていくのです。《好奇心》
さらに、赤ちゃんが泣くというメッセージを送ると、すぐにお母さんが来て、抱いてあやしてくれたり、おっぱいを飲ませてくれたり、オシメを取り替えてくれたりします。これが、赤ちゃんの心に限りない安心感を与えてくれるのです。困ったときには、泣いてメッセージを送る。すると、必ず特定の誰かが現れて、救ってくれたり、求めを満たしてくれる。それを繰り返すことで、困ったときに逃げ込める【避難港】があるんだという安心感が、心の深いところに刻み込まれるのです。このことが、情緒的に安定した人間を生む基礎になるのです。《情緒的安定》
ところが、サイレント・ベイビーにはそうした、社会性、好奇心、情緒的安定といった人間らしさ、人間らしい感情が不充分なままで成長する危険性を秘めており、修正されることなく成長したとすればどうなるのでしょうか。
いかがでしたか。それでは、次回まで、健康で、楽しくお過ごしください。(^‐^)
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