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サイレント・ベイビーからの警告

■第5号 甘え上手・甘え下手 (2005年12月05日)

乳児期に甘える体験をしなかった子どもは、人に甘えることが下手になるようです。そして、甘えることが下手だということは、真に愛するものを見つけ出すことが下手だということと同じです。それは、甘えてもその甘えは、きっと裏切られ、拒否されるという恐怖にもとづいているからです。
ところで、最近、児童虐待が増加しているようですが、これは、甘え、甘えられるという母子関係がない場合に起こりがちです。子どもが甘えてくれないという、子ども側の問題がありますが、母親側にも、親にかわいがられた経験が乏しいために、子どもへの接し方がわからないといったことが要因の一つです。つまり、母性的な行動は、自然に身につくものではなく、学習によって身につくものなのです。
さて、サイレント・ベイビーの時期に始まる甘え下手、甘えさせ下手という親子関係が修復されないままでいると、その子どもは、少年期、思春期にも、ほかの人との適度な人間的相互関係を育てることが下手な子どもに育つ可能性が高くなります。
つまり、母親から受け入れられていないと感じている子どもは、そのつらさから、早く逃れたいのです。これまでの人生と縁を切り、その嫌な記憶を一刻も早く切り捨てたいと願望するのです。そのため、過去と決別するための激情的なアルコールや覚醒剤への依存といった、「歪んだ愛着」が生まれるのです。
こうした「歪んだ愛着」の一種である依存の一つとして、暴走族の仲間入りがあります。家庭でできなかった、甘え甘えられる関係を、暴走族の中の兄貴分や姉貴分に求め、その集団の中で行うのです。オウム真理教なども、信者は教祖や教団に家族を感じているために、なかなか離れられないのかもしれません。
人間は、どうも家族なしでは生きられないようですが、その家族的なつながりの核である母子関係が希薄になっているところに問題がありそうです。
不幸にして、サイレント・ベイビーになってしまったとしても、それに気づいたのであれば、それまでの埋め合わせをするように、ベタベタといって良いぐらいに可愛がってあげましょう。そして、甘えを受け入れてあげてください。最も奥深い愛着の対象であるお母さんと子どもとの甘え・甘えられる親密な親子関係が、大切なのです。
今回は、短めですが、切りがよいところですので終わります。それでは、次回まで、健康で、楽しくお過ごしください。(^‐^)

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