■第6号 乳離れの仕方と影響 (2005年12月12日) 今回は、乳離れの問題です。乳離れの仕方も心の成長と関係が深いようです。 乳離れには、「断乳」と「卒乳」があるそうですが、最近は、厚労省では「断乳」という言葉を使わなくなっていますが、昔の育児書には「断乳」という表現が残っているものもあります。 では、「断乳」と「卒乳」の違いは何でしょうか。「断乳」は、ある日突然、しかもきわめて強引な方法で、赤ちゃんをオッパイから引き離す方法です。なぜこの様な「断乳」をするのかと考えますと、1歳になっても、オッパイ、オッパイでは、周囲に対してみっともなく、我が子の成長が遅れているように感じるし、だらしない育児をしていると思われる、というような世間体を気にすることがあります。そして、もう一つは、いつまでも乳離れしないと、仕事に復帰できないという思い込みと、経済的にも豊かになれないと考えるからでしょう。これは、強制的な自立育児法の考えに基づいています。 ところで、「断乳」の方法には、桶谷式乳房マッサージ術という、母親の胸とおなかに「へのへのもへじ」を描く方法とオッパイの先にカラシを塗る方法があります。 これらの方法は、実に効果的な様ですが、子どもの心にどのような影響があるかを考えなければならないのです。それまで頼り切っていた母親としての象徴であるオッパイが、突然、変なもの、怖いもの、嫌なものに変わってしまい、心にキズができてしまうのです。「断乳」を強いられた子どもは、機嫌が悪くなったり、眠くなると毛布をくわえたり吸ったりして眠るという癖が現れがちになります。 この「断乳」の後に充分なケアがないと、いつまでも心に残るキズで、無意識のレベルで、生涯残るかもしれないキズになることもあります。残るとすれば、愛情の対象にいつ裏切られるかもしれないという猜疑心が生まれ、思春期や適齢期に愛する異性が現れたとしても、心から、その異性を愛することができなくなるかもしれないのです。 「断乳」に対して「卒乳」の場合は、存分にオッパイを飲ませて、もうお乳がなくても自立できるようになると、自然にパッと乳離れができます。「卒乳」した子どもは、みずみずしい感受性を備えているのです。 「断乳」という発想につながる、前述の強制自立育児法は、アメリカの主流となる育児法ですが、サイレント・ベイビーを大量生産するための育児法であるといえます。また、カウンセラーやカウンセリングを受けている人の数が圧倒的に多いアメリカという国の育児法であることを銘記しなければなりません。強制自立育児法で乳幼児の育児を行うことは、「心の断乳」を行うようなもので、「自立」するように見えても、表面的な自立に過ぎないのです。 ところで、ストレスを長期間処理できずにいると、心身の調子が狂いますが、その狂わせ方に、二通りあるようです。 一つは、神経症で、頭の働き、機能がおかしくなる症状です。これは、アメリカに多いそうです。 言語感覚が発達している人に起こりやすいようで、アメリカのように、多民族・多言語の国では、自己主張の最大の武器である言語能力を早い時期から発達させようとするために、知性の脳が発達し、情の脳とのバランスが欠けてしまいます。この神経症は、外に向かったストレス障害であり、時として、外の世界に向かって爆発し、暴力的な行動をとらせる可能性を秘めています。 もう一つは、心身症で、ストレスにより、胃や肩に痛みが生まれ、ひどいときには胃潰瘍になったりします。こちらの方は、日本に多い症状なのですが、同質性の強い共同体社会で、それほど、言語感覚を発達させる必要がないからなのでしょう。ストレスによる害が自分の身体に向かっていることから、内に向かったストレス障害と言えます。 それでは、次回まで、健康で、楽しくお過ごしください。(^‐^) |