■第8号 サイレント・チャイルドの治療 (2005年12月26日) 今回から、癒し方についての本論に入ります。 サイレント・ベイビーからサイレント・チャイルドになり思春期を迎えてしまった子どもを、その時期になってからでも癒せるのか、つまり、拒食症、登校拒否、粗暴行動などに走ってしまった子どもを治せるのかということですが、難しいことですが、治す方法はあるということです。ただし、癒しに要する時間は、当然のことながら、その子どもの病的行動の程度や、親と子の関係性の崩壊の程度、それによる子どもの心の傷の深さや周囲の環境などによって異なります。 その方法というのは、「ダッコ療法」なのです。問題を起こした子どもを、お母さんが、あたかも乳児であるかのように受け入れ、甘えさせるという治療法です。ただし、「ダッコ療法」だからといって、必ずしもダッコする必要はありません。子どもを受け入れ、ダッコされたときのように子どもの心が安心して開ききる状態にしてあげるということなのです。 ただ重症である場合には、時間が3年、4年とかかることがありますから、お母さんの方が、不安になり、苛立って子供にあたったりすると、開きかけていた心が閉ざされ、振り出しに戻ることがあります。子どもは、お母さんが本当に自分を受け入れてくれるのかどうか心配なのです。お母さんには、辛抱強く取り組んでいただかなければなりません。 さて、子どもを甘えさせる、甘えを受け入れる、ということに注意しなければなりません。それは、甘やかしとは違うということをしっかりと認識しておかなければならないのです。 子どもが、お母さんにもたれかかり、肌のぬくもりを求めたり、思春期などに、わざと聞こえるように、他人をなじるようにつぶやいたり、という形で甘えの受け入れを求めているときには、抱き上げたり、話を聞いてあげたりして、これを受け入れてあげなければなりません。 ところが、抱き上げたり、話を聞いてあげる代わりに、物を与えて、愛情の証とすることは、「甘やかし」になるのです。そのようなことでは、本当の意味で、子どもを受け入れたことにはならないのです。私たちは、忙しさにかまけて、つい、お金や物で子どもを満足させようとしてしまいませんか。それでは、心を受け入れていることにならないのですね。そして、こうしたことが習慣化されると、親よりもお金や物が頼りだという大人になり、人を愛することができず、他人の心の痛みを感知することができない大人になってしまうでしょう。 拒食症の完治に3年かかった例があるようです。子どもの心が開き始めるまでに、様々な「母子のドラマ」を経て、最終段階にきて、子どもが布団に横になって、付き添ったお母さんに、一晩中、現在のつらい気持や幼児期の記憶などを語りつづけました。 その当時の親にとってはささいと思える子どもへの拒絶の態度や、親と共に過ごした楽しかったことなどを、幾晩も語りつづけ、それをお母さんが、聞き続けたことで、子どもは、お母さんに対して完全に心を開き、そして、拒食症が完治したそうです。 それでは、次回まで、健康で、楽しくお過ごしください。(^‐^) |