■第15回 地域での居場所づくり (2007年05月09日) 健康生きがいづくりアドバイザー 橋本哲夫
私は3年余り前に会社員生活を終えました。在職中は奈良市の自宅は寝るだけという生活で、地域とはほとんど接点を持たずに過ごしてきました。 買い物や食事、散髪なども大体、会社周辺で済ませていました。ある時、このまま退職したら、地域に自分の居場所が何もないことに気づきました。 「これはいけない!」と思い、退職後を過ごす中心である地域で居場所を作るきっかけを見つけて、何か自主的な地域活動をしようと思いました。 幸い、私は地域で20年以上前から気の合う、趣味のジョギング仲間がいたので、そんな話しをしているうちにきっかけが見つかり、いま彼らと一緒に2つの活動に取り組んでいます。 1つは近所を流れる秋篠川河畔に桜の木を植え(現在155本)、それぞれの木の桜の里親を募集しました。 里親の中には、地元自治会や老人会、小学校の木なども含まれており、要するに地域全員が里親ということです。 そしてみんなで桜を育てつつ、ここを憩いと、触れ合いと、ときめきの場所にしていこうという活動です。月に1回有志で川のごみ拾いと、桜木の世話をしています。 いつも20〜30人の人たちが長靴をはいて集まってきます。約1時間で桜の木が植えられている延長約1.3キロメートルの川はすっかり美しくなります。 春には桜木の下に燈火を並べ、「燈火夜桜まつり」を2日間行います。 中央部の花見本部周辺では、かがり火もたき、会で作ったおでんのほか、差し入れのビールやお酒、料理などを花見に訪れた人たちと皆でいただきながら、夜遅くまで、話に花を咲かせます。 花見会は始めて数年になりますが、今ではすっかり地域の行事に育ってきました。 5月には「親子で川あそび大会」も開きます。川に入ることが少ない子どもたちに自然に親しんでもらおうというものです。 この日は、川の水が見えないほど子どもたちが集まり、魚たちも迷惑なことですが、我慢してもらっています。このような活動を通じて地域に知り合いがずいぶん増えてきました。 もう1つは、「あそびの城」と称して、奈良市グリーンホールで月2,3回、子どもの居場所づくりを行っています。 地域で一緒に遊ぶ機会がめっきり減った子どもたちに集まってもらい、自由あそびのほか、普段あまり体験できない素朴な集団あそびなどを提供して、異年齢の子どもたちが一緒になって遊ぶ場所を提供しています。 私にとっても孫が一度に何十人もできたようで大変楽しいことです。 町でばったり出会った子どもが親しみをこめて「あっ、遊びの城のオッチャンや」といわれて、少し地域に居場所ができたと感じています。 今、団塊世代が定年を迎え始め、地域デビューが話題になっています。一人ではなかなかできないので、なるべく早く同志となれる仲間をみつけ、さらにちょっとしたきっかけをつかむ積極さがあれば地域に居場所を見つけるのはそれほど難しいことではないように思います。(奈良日日新聞掲載)
それでは、次回まで、楽しくお過ごしください。 (^‐^) |