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私と健康・生きがい

■第21回 定年後も有意義に(2007年06月20日)
                                                                健康生きがいづくりアドバイザー    真杉邦彦

 

 「定年まで働いた時間と同じだけの自由時間が定年後にある」と言われる。では、定年後も働いた私などはその分自由時間を損した気分になりますか?
 遊びや趣味を仲間と楽しむ人生はまことに結構なことですが、今一度、心身健全な限り個々人に合った新たな意味での仕事(無償の労役となる)にかかわるのもまた有意義でありましょう。
 そのことにより意義と価値への欲求を満たし、惰性でなく創造的な人生を得られれば、これまた楽しいことです。
 いにしえの都「奈良」は後3年で平城京遷都1300年の節目を迎えます。当時、平城は政治、文化の中心地として人口10万人を擁し、律令制定による近代化を推し進める一方、わが国初の一大プロジェクト「大仏造立」による国家秩序の形成など大揺籃期にありました。
 今日まで京都と共に観光立地として高い地位を保ってきましたが、近年の観光事情の変貌により奈良観光はいささか沈滞気味です。しかし、奈良にはなお自然と建築物の溶け合ったすばらしい雰囲気や、貴重な仏教美術、史蹟、工芸品など世界に誇るべきものが多くあり、世界遺産は斑鳩と奈良市内に10資産、また、国宝建物は全国の30%、国宝彫刻は全国の56%を占めています。
 このような国民の財産に触れに来られる観光客をご案内し、心のおもてなしをするボランティアは、観光振興の一翼を担う重要な存在であります。
 現在、NPO法人なら・観光ボランティアガイドの会(平成9年設立)では120人余りの会員が年間5万

7000人の観光客を主として奈良市内の世界遺産に案内しています。
 ガイドの特色として@ホスピタリティ精神に基づく触れ合い活動。お客さんの欲する観光ニーズにお応えする「一期一会、相互に感謝」ですA体力、知力、精神力の三拍子を発揮B現場第一主義C時間管理D季節性Eガイド内容の多岐多様性。
 このことによって私自身の得られる効用は@体を動かす(歩く)ことで健康維持。Aしゃべることによる声帯筋力の保持。B学習という知的刺激によるボケ防止。Cお客さんによってガイド感性を磨かれることの期待などです。
 現場での実感は@常にコースと時間の戦いA子どもに問い掛けたり、一緒に考えることの楽しさB記憶力減退に愕然。十を学んでも一しかしゃべれないC言葉を支える知識をネットワーク状に、広く深く張りめぐらす必要性を痛感D残念な観光スルーの現状。すなわち関西への修学旅行の学生はちょっと腰掛け程度に奈良へ立ち寄るものの、宿泊は大抵京都か大阪で、奈良への宿泊割合は12%です。
 最後に私の観光ボランティアガイドについての体感的印象は次の通りです。
 「観光とは自然と文化に触れその価値を発見し、感動すること」、「ボランティアとは任意の労役である」、「ガイドとはライブでの案内である(多くの知識を持っていても、また話しぶりがうまくても、現場でそれを上手に生かし、現場に適ったパフォーマンスをすることが大切です)」
 いずれにせよボランティア活動も日常生活の中へ、あまり無理をせず組み込むことが大切で、自分自身や家族を犠牲にしての活動は長続きしないでしょう。
(奈良日日新聞掲載)

 それでは、次回まで、楽しくお過ごしください。 (^‐^) 

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