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私と健康・生きがい

■第22回 社会へのお役立ちに(2007年06月27日)
                                                                健康生きがいづくりアドバイザー    大林久信

 

 最近の失業率は景気回復に伴いかなり改善されましたが、なお、正規従業員への道は容易ではない状況です。
 若年者や中高年齢者の職業訓練や再就職活動の相談に携わって感ずることは、就業希望者、とりわけ若年層の人が「働くとはどういうことか」を明確に自覚していない
ことです。
 「今、楽しいことをしたい」、「興味のあることをしたい」などと、刹那(せつな)的な願望で就業を考えている人がかなりおり、「働くとは」、「傍を楽にする」ことであり、社会に仕えることである、との職業観がほとんど欠落していることが、若年層の正規就業を困難にしている最大の要因であると言えます。
 私は、世のため人のために自分は何をすべきかという自分の使命感や志を明らかに自覚することが人生の根本であり、就業の第一条件であると、繰り返し強調しています。
 心理学者ジェームス・アレンは「人は自分の考えた通りの人間になる」との格言を引用して、人間はその人の思考によって形づくられていると説き、人間の心構えがパーソナリティに重大な影響を与えると主張しました。
 つまり、仮に人をだまし利得を得ることに興味が強くスリルを感じる人は、その考えや行動に自ずと注力する事になり、罪を犯してしまう。
 一方、日ごろから夢や理想や志を掲げて常にそのようになりたいと願う人は、この考えが強ければ強いほど日常行動がそのベクトルに向けられ、持続・助長されて、いつかその理想は現実のものになる、ということです。
 このように働く意義・志を明確にすることが先決であり、ついで自分を見つめ直し、自己の特徴・強み・弱みや興味・関心などの自己理解を深め、自らのキャリアの棚卸しを行って、職業ビジョンを形成し、職業を特定してゆく。これと並行して専門的スキルを習得してキャリアアップを図る。
 このプロセスを着実に実行すれば正規就業は可能となるでしょう。
 再就職を望む人のものの考え方や取組みのプロセスを見てきましたが、これは高齢社会を生きてゆく私たちが生きざまを模索する際に、収入の有無を除けば、ほぼ共通する視点であると言えます。 
 例えば、ボランティア活動をする人は、何らかの使命感や志を持ち、自らのキャリア、スキルや興味・関心などに基づいて分野を選択して社会に役立つ活動をします。
 人は、年代に関係なく健康な心身を維持し、生き生きとした生きがいにあふれる生活を送りたいと念願しています。私たちは生ある限り、「生きている証」を刻んでゆきたいと考えて行動し、また、社会からもそれを求められております。
 これからの長寿社会において、一人ひとりの健康と生きがいは、その人の心構えに
依存していると言っても過言ではなく、私はこのことに心して、少しでも社会へのお役立ちができるよう精進してゆきたいと考えております。
(奈良日日新聞掲載)

 それでは、次回まで、楽しくお過ごしください。 (^‐^) 

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