■第3回 ツバメが示す「生活上手は健康上手」 (2007年02月08日) 健康生きがいづくりアドバイザー 三浦康代 「小さなふれあい、大きな生きがい」健康増進施設であるなら社会保険センターのキャッチフレーズです。ここには約5000人の受講生が運動系や文化系の各種講座に通っておられます。 このたび、22年の幕を閉じて民営化され、4月以降も講座は無事継続されることになりました。近鉄西大寺駅周辺では、連れ添って帰られる受講生のたくさんの笑顔に会えます。受講生の大半は中高年の女性なのですが、実にイキイキとしたいい顔をされています。 多くの方が、趣味や運動を続けられること以上に、お仲間や講師とのきずなが続くことにほっとされているのでしょう。 民営後は、私がいる健康相談室はなくなり、私は私の宝物である1万5000人分のカルテを焼却します。この10年間の健康相談記録は受講生とともに考え悩み喜んだ私の人生でもありました。 健診結果に関しては3人に2人は私の指導で改善し、医療の適正化や介護予防の一翼を担ったつもりです。一方、「笑い話になりそうでならない不健康づくり」のケースもいろいろみてきました。 間違ったダイエットや運動法・きつすぎる冷暖房・喫煙及び副流煙・飲酒・食品添加物・排気ガスなどが原因で健康状況が悪化しているのにその悪循環から抜け出すことができない人や、定年退職後の取り組みが遅くて不健康になられた男性も結構おられました。 さて、元気な受講生に刺激されて私も趣味が増え、今ではバードウオッチング・日本画・川柳・登山・ストップ地球温暖化推進員などをしています。 「奈良は人脈がないと動けない」とよくいわれますが、30年前よそ者だった私も趣味の数だけ友人の輪をもつようになりました。趣味の技量を伸ばすことも大事ですが、人とどれだけ交流し感動し、影響しあえたかということもお金では買えない生きがいです。 いえ、人以外の動植物から教えられることもあります。そのひとつに、ツバメのねぐら入りがあります。 毎年夏の日没時に平城宮跡では、周辺のツバメ数万羽が集まり、毎日1時間ぐらい右に左に上に下にとすばらしいツバメショーを見せてくれます。南方へ渡る前にこうやって情報交換やら訓練をしているのでしょうか。 そして、暗くなったとたん、全員がすっとヨシに止まって静かに眠るのです。外敵から身を守るためでしょうか。翌朝は間違わずにまた自分の巣に戻るのです。わずか18グラムの身体で片道2400kmも旅をした後、体重は3分の2に減ってしまうそうですが、ものすごい生命力です。 あの中に、もし集団行動のとれない勝手なツバメがいたとしたら、もしメタボリック症候群のツバメがいたとしたら、きっと生きていけないでしょう。昨年、はじめてそのショーを見たときは人生観が少し変わったくらいの衝撃でした。 これも仲間に誘われていなかったら、いまだに知らないままだったかもしれません。あの世に一番持っていくべきものは思い出と友情だとある人が言っていましたが、私も同感です。 今後は、私の子育てや小児看護、中高齢者の健康づくりに関わった経験を次世代の子どもたちの健康を最も左右する若い女性への健康教育に生かしたいと思います。(奈良日日新聞掲載)
それでは、次回まで、楽しくお過ごしください。 (^‐^) |