■第10号 油 (2006年05月22日)
拙著eブックで記載していることとダブル内容もありますが、医学教授の説であり、よりご納得いただけるのではないかと思います。例によって、詳しい内容は、原文でどうぞ。
まずは、油(脂)の話です。動物性の油は別として、植物性油の多くは、種子に含まれています。ですから、植物油の多くは、種子を搾って取るというのが、原始的な方法です。しかし、現実には、時間、労力、品質(酸化等)、量的(ロス)などの問題で、工業的に抽出されています。この油は、量産には都合がいいのですが、「トランス脂肪酸」という成分に変わり、酸化しないけれども体には害を与えるのです。
ですから、 ヨーロッパでは、トランス脂肪酸の含有量に上限値を決め、販売を規制しています。しかし、日本では、何ら基準は無いのです。
この、トランス脂肪酸を最も多く含むものが、「マーガリン」なのです。植物性の油を使ったマーガリンは体によい、と思っている方は、多いと思いますが、とんでもない間違いなのです。
トランス脂肪酸を含む油として、「ショートニング」もあります。これは、家庭でケーキを作るときに、使われることがあります。また、市販のクッキー、スナック菓子、ファーストフードのフライドポテトなどにたくさん使われます。
次に、油ものでよくないものは、天ぷらです。私も天ぷらは好きなので、これは、ちょっと残念なお話です。それはともかくとして、日本の食文化で、油ものを食べるようになったのが、ここ150〜200年であり、遺伝子の中に、「油を消化する」システムが組み込まれておらず、膵臓の機能が油の消化という点で弱いようなのです。
ですから、どうしても天ぷら、揚げ物がやめられないのであれば、回数を減らすように、目安として、月1回程度に抑えるように。また、油で調理したものは、酸化が早いので、調理後、時間がたたないうちに食べてしまいましょう。
ところで、油の主成分である脂肪酸は、「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」に分けられます。この不飽和脂肪酸は、いわゆる善玉脂肪酸といわれるものですが、人間の体で生成できないため、食物からとらなければならないものを、「必須脂肪酸」といいます。必須脂肪酸には、「リノール酸」「リノレン酸」「アラキドン酸」などがあります。
ただ、これらは、非常に酸化しやすいことが、欠点です。これに対して安定しているのは、イワシ、サバなどの「青魚」に含まれるDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)です。
こうは言っても、人間に必要な油は、人工的に搾ったり抽出したものでなく、脂肪分を含む食物を自然のままでとれば、必要量をまかなうことができるのです。それは、穀物、豆類、ナッツや植物の種など、油の原料となるものを、そのまま丸ごと食べることなのです。
では、次回まで、楽しくお過ごし下さい。(^-^)