第7号 ホルモン様合成化学物質 (2006年03月06日) ホルモン様合成化学物質は、人畜無害な要素に分解されにくいため、環境内に多量に残留しています。先進諸国で、残留性の高い化学物質が生産中止になった後30年経ってはいても(1997年時点で)、食物やヒトや動物の中に未だに蓄積されています。そして、その中には、この先何十年、さらには数世紀にわたり環境内に残留する物質もあると考えられます。 その一方で、新たなホルモン様合成化学物質は、今なおつくられ、思いもよらない新たな汚染源が、次々明らかになっています。厄介なことに、次世代まで危険を及ぼしかねないほどに、ひどく汚染されてしまっているのです。 それでは、私たちはどのようにして身を守ればいいのでしょうか。基本的には、ホルモン作用攪乱物質をつくらないようにし、また、環境内にすでに蔓延しているホルモン様汚染物質に暴露しないようにしなければなりません。このためには、科学的な研究を進め、企業での化学物質や製造工程および製品の見直しを行うとともに、政府においては、新たな環境政策を実施しなければなりません。また、個人においては、家族ぐるみの自衛策が必要になります。 ところで、残念なことですが、発育初期に被った化学汚染による障害を癒す手段は、今のところありません。ただ、子宮内で暴露した場合に、重大で永続的な被害を誘発するおそれがあるホルモン作用攪乱物質であっても、遺伝子を傷つけたり、世代を越えて突然変異を引き起こすことはないし(ホルモン作用攪乱物質ではということですが、実際には、合成化学物質の中に、発ガン性のものもあります)、人類の基本的な遺伝子配列を変えてしまうこともありません。ですから、子宮からホルモン作用攪乱物質を取り除いてやりさえすれば、正常な発育を促すメッセージが正しく伝達されるようになるのではないかということです。 そのためには、妊娠中に限らず、数年あるいは数十年にわたり、食事に気を配り、X腺や殺虫剤、あるいは一部の食品添加物などにも気をつけなければなりません。それは、子宮を汚染する有害物質の濃度は、妊娠までの体脂肪に蓄積された量と妊娠中の摂取量によって決まるからです。母体に蓄積された汚染物質は、妊娠や母乳の授乳を通じて、子どもに引き継がれるのです。 地球環境の問題をはじめとして、いろいろな社会的な問題になると、「私一人ぐらいが・・・・」という思いがあるかもしれません。しかし、その私一人の心がけが、徐々にではあっても、大きな波となり、うねりとなって社会を変えていくことになるのではないでしょうか。今、これをお読みいただいている私が心がけることによって、子どもや、孫の運命を変えることができるかもしれないのです。 次号では、どのようなことに注意すべきかについてご説明し、この概説を終わります。では、次回まで、楽しくお過ごし下さい。(^‐^) |